アレルギーコラム

食べていいもの・いけないもの

食物アレルギーを知ろう

食品を除去するときには「正しい診断に基づいた必要最小限の原因食物の除去」を心がけましょう。”食べられる範囲”や、その後の体調変化は、ひとりひとり異なります。食べたことのない量を、自宅で少しずつ試したりせず、医師に必ず相談してください。

小麦を除去するとき

小麦が属する麦類の、大麦・ライ麦などは、交差抗原性が知られています。これらの食品の除去については、医師に確認しましょう。

小麦アレルギーは、食物依存性運動誘発アナフィラキシーの原因食物として、最も頻度が高いです。
日常生活や、食事と運動の状況を観察し、症状がある場合は必ず医師の指示に従ってください。

*醤油の原材料に利用される小麦は、醸造過程でアレルゲンが消失するので、基本的に醤油を除去する必要はありません。小麦完全除去の場合でも、調味料(醤油、味噌など)が摂取可能かどうか、医師に確認しましょう。

「食物アレルギーの栄養食事指導の手引き2017」(厚生労働省)

**小売店で販売される「米粉パン」には、小麦のアレルゲンであるグルテンを使用している場合が多いため、必ず確認しましょう

★小麦を除去する場合の、代替食品について

小麦を用いた食品は主食として、エネルギー源としての役割が大きいです。
食パン6枚切り1枚(約60g)は、下の表の食品などで補うことができます。

★表示などで気を付けること

①容器包装された加工食品の代替表記
「こむぎ、コムギ」などの書き方になっている場合があります。
(表示については、「アレルギー表示について」のページを参考にしてください)

②麦茶について
材料は大麦ですが、アレルギーの原因となるたんぱく質の含有量がごく微量のため、除去が必要なことはまれです。

大豆を除去するとき

大豆以外の豆類について、除去が必要なことは非常にまれです。医師の指示に従ってください。

*醤油や味噌は、醸造過程で大豆アレルゲンの大部分が分解されるため、摂取可能なことが多いです

**大豆油は精製されており、大豆のたんぱく質を含まないため、基本的に除去する必要はありません

★表示などで気を付けること

①大豆は特定原材料としての表示義務がありません。表示をしっかりと確認しましょう。

②加工食品の多くには、食品添加物である乳化剤の1つである「レシチン」が使用されています。大豆由来のレシチンが用いられていることが多いため注意しましょう。

卵を除去するとき

基本的に「鶏肉、魚卵」を除去する必要はありません。鶏卵のアレルギーの原因となるたんぱく質は、鶏肉や魚卵のたんぱく質とは異なるからです。

★鶏卵を除去する場合の、代替食品について

鶏卵に含まれるたんぱく質を他の食品に置き換えて、バランスのよい食事をめざしましょう。

鶏卵M玉1個(約50g)あたりのたんぱく質:6.1gは、下の表の食品などで補うことができます。

★表示などで気を付けること

①容器包装された加工食品の代替表記
「たまご、鶏卵、タマゴ、エッグ、玉子」などの書き方になっている場合があります。
(表示については、「アレルギー表示について」のページを参考にしてください)

②微量コンタミでもアレルギー症状が出て、医師から指示されている方は
注意喚起(例:同じ製造ラインで鶏卵を使用していますなど)の表示がある場合は、メーカーの「お問い合わせ」窓口で確認しましょう。

ナッツ類を除去するとき

それぞれのナッツには別のアレルゲンが含まれているため、ナッツ類をまとめて除去する 必要は基本的にありません。またナッツ類を除去することで、栄養素の不足は起きにくいです。

★表示などで気を付けること

①クルミ・アーモンドは特定原材料としての表示義務がありません。

②ナッツ類は粉末状やペースト状で洋菓子の材料として使用されている場合が多く、見た目ではわからないことも多いので、メーカーに確認が必要な場合があります。

*アーモンドミルク:飲料や料理に使用されていることが増えています。料理の見た目で分かりにくいので注意が必要です。

★ナッツ類アレルギーで確認が必要なこと

①ナッツオイル・シロップは食品だけでなく、スキンケア用品・シャンプーなどに使用されています。少量のナッツを摂取しただけでも全身症状が出たことがある場合は、注意が必要なので、医師に相談してください。                    

②クルミに対するアレルギー症状がある場合は、ペカンナッツ(=ピーカンナッツ)を食べて症状が出る可能性がかなり高いです。

③カシューナッツに対するアレルギー症状がある場合は、ピスタチオを食べて症状が出る可能性がかなり高いです。

乳を除去するとき

★アレルギー用ミルク(特別用途食品・ミルクアレルゲン除去食品)について
加水分解乳とアミノ酸乳がありますが、アレルギーの症状にあったミルクを選ぶことが重要です。選択する場合には必ず医師の指示に従って使用してください。

★牛乳を除去する場合の、代替食品について
牛乳を除去すると、カルシウムが不足しやすくなります。
普通牛乳100mlあたりのカルシウム:110mgは、下の表の食品などで補うことができます。

牛乳コップ1/2 =「カルシウム110mg」=1日の推奨量の1/4~1/6

(*日本標準食品成分表2020参考)

★表示などで気を付けること

①容器包装された加工食品の代替表記
「ミルク、バター、バターオイル、チーズ、アイスクリーム」などの書き方になっている場合があります。
(表示については、「アレルギー表示について」のページを参考にしてください)

②誤解されやすい食品
「乳化剤(一部は除く)」「乳酸カルシウム」「カカオバター」「乳酸菌」などは、牛乳とは関係がないため、摂取することができます。

③「乳糖」について
除去が必要な場合はまれです。摂取の可否については、医師に確認しましょう。