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イチゴ、ブルーベリー、クランベリー・・・・ 人生をハッピー&ヘルシーにしてくれるベリーの魅力

『日経ヘルス』『日経ヘルスプルミエ』の元編集長で、現在も食品関係を中心に多方面で活躍される、健康医療ジャーナリストの西沢邦浩さんを迎え、「食と健康」についてデータに基づいた情報を発信します。今回のテーマは『ベリー』。可愛い見た目にパワフルな力を秘めたベリーの魅力にせまります。

2021年11月

健康医療ジャーナリスト 西沢 邦浩

みずみずしく鮮やかな赤色とすっきりした甘さが、目にも心にもときめきをもたらしてくれる。だから、クリスマスケーキのデコレーションにも欠かせない。太陽の子のように真っ赤なのに、真冬の12月から出荷量が増え、春の終わりまで私たちの食生活に彩を添えるイチゴ。

子供から大人までみんなに愛されるイチゴですが、「どんなところが美容や健康に役立ってくれるでしょう」と聞かれたら、あなたはなんと答えますか?

おそらく、「ビタミンCが多いこと」というのが一番多い答えではないでしょうか?

イチゴについて書かれたネット上の記述を見てみても、「7~10粒食べるだけで1日に必要なビタミンCを補うことができる」といった表現でビタミンCにフォーカスした記述が目立ちます。ビタミンCの代表的な機能性は、抗酸化作用、肌のコラーゲン生成を促すこと、風邪の罹患期間を短くすることなど。

イチゴは大きいものだと1個で50gを超えますが、スーパーで売られているパックでは、20gくらいの粒が多いのではないでしょうか。そうすると、確かに8個も食べればビタミンCの推奨量100㎎は超えますね。

●イチゴに含まれるビタミンC量  62㎎/100g

(日本食品成分表(八訂))

●ビタミンC摂取基準

成人男女の「推定平均必要量 85㎎」「推奨量 100㎎」

(2020年版日本人の食事摂取基準)

日本食品成分表(八訂)でイチゴに含まれる成分と量を見ると、カリウム、葉酸、食物繊維など大切な成分が入っていることがわかりますが、普通に1食でとれる量で推奨量を満たせる成分といえばやはりビタミンCです。

イチゴに含まれる、今注目のアンチエイジング成分

でも、このかわいらしいイチゴには、食品成分表には載っていないけれど、私たちの健康寿命を延ばすことに貢献しそうだと注目されている成分も複数潜んでいるのです。

それは、どちらもポリフェノールの仲間である「エラグ酸」と「フィセチン」。聞きなれない成分かもしれませんが、イチゴはどちらの成分でも、それを多く含む代表的な食品です。

<イチゴに含まれる2つの注目成分の量>

 ●エラグ酸   71~83㎎/100g

(Br J Pharmacol. 2017 Jun;174(11):1244-1262.)

 ●フィセチン   16㎎/100g

(Antioxid Redox Signal. 2013 Jul 10; 19(2): 151–162.) 

まずエラグ酸。これは肌のシミをつくるチロシナーゼという酵素の活性を抑制する作用を持つため、以前から美白成分として化粧品に使われてきました。

一方、食品成分としては、「脂肪細胞に働きかけ、体脂肪、血中中性脂肪、体重、BMI 値、ウエスト周囲径、内臓脂肪などが減少する」という機能性表示食品の機能性関与成分になっています。1日あたり3㎎の摂取でこのような結果が確認されています。

また、「冷えにより低下した末梢血流を上昇させ、皮膚表面温度(抹消体温)を回復させる」という表示も受理されているのですが、こちらの場合の摂取量は1日4㎎。

イチゴ一粒でとれてしまう量ですね!

さらにこの成分にはすごいところがあります。それは、この成分から腸内細菌が作り出すウロリチンAという物質が、健康寿命の延伸に役立つことが確認されつつあること。私たちの細胞の動力機関・ミトコンドリアを若返らせ、また長寿遺伝子を活性化する成分として熱い視線を浴びているのです。肌の老化抑制、血糖調整力改善、認知機能改善作用などが報告されています。

ヒト試験では、10~50㎎/日くらいで血管が健康になるといったデータが出ているので、ある程度イチゴを食べれば効果が期待できる可能性もありますが、その実証は今後の研究を待ちましょう。ただちょっと残念なのは、エラグ酸からウロリチンAをつくることができる腸内細菌叢を持つ人は日本人の約半分くらいと報告されている点。

自分が作れる方の半分に入ることを信じて、イチゴを食べましょう!

もう一つ注目されているのが「フィセチン」という成分です。

老化して正常に働かなくなっているのに、そのまま居座って逆に悪さをする“老化細胞”、別名“ゾンビ細胞”が動脈硬化やアルツハイマー型認知症などのリスクを高めることがわかってきました。フィセチンはこの老化細胞をやっつける働きを持つことで注目されていて、マウスの試験では、ゾンビ細胞が減り寿命が伸びるという結果も出ています。

ヒトで実施されている試験を見ると、1日100㎎で病気の原因になる炎症物質が減ることが確認されています。こうしたデータを受けて、サプリメントでも1日100㎎のフィセチンを含む商品が多いようです。イチゴに含まれる量を考えると十分量をとるのはちょっと難しそうですが、食品ではトップクラスで多くフィセチンを含むフルーツだというのを知ると、お得感も増しますね。

目を守るブルーベリー、最も健康度が高い食品?!ラズベリー・・・

ここまでイチゴにフォーカスしてきましたが、ベリー類はどれもキュートなうえに私たちの美容と健康に役立ってくれます。

たとえば、青紫色のポリフェノール・アントシアニンで知られるのがブルーベリー、カシス。これらのアントシアニンでは、目の疲れの改善作用が確認されており、ブルーベリーの野生種・ビルベリーのエキスを1か月間摂取してスマホゲームをしたところ、目のピント調節力の低下が抑えられ、回復も早かったという報告もあります。スマホ必携時代の頼もしい味方と言えます。

実際、ビルベリー由来のアントシアニンで「目のうるおいやピント調節機能をサポートし、目の疲労感の緩和に役立つ」、カシスのアントシアニンで「夕方・夜間(暗い場所)での見る力を助ける機能、目のまわりの血流量を増やすことでピント調節機能の低下を和らげる働き」といった機能性表示も行われています。

機能性表示食品には1日分に50㎎内外含まれるものが多いようですが、生のフルーツとして食べる場合、通常のブルーベリーだと30~50g、カシスは10gほど食べればとれる量ですので、食生活に取り入れられる現実的な量ですね。

ちなみに、カシスパウダーを1週間とったら、アントシアニンの抗酸化力で、加齢臭とされるノネナールの発生量が約半分になったという報告もあるので、エチケットフルーツとしても使えそうです。

ジャムなどの加工品だけでなく、冷凍や生で見かけることも多くなったのがラズベリー。最近、米国のタフツ大学が開発した「フードコンパス(Food Compass)」という食品の健康度を1~100までの点数で表した新指標で、ラズベリーが満点(100)だったと発表しました(下図)。

この指標は、食品に含まれる栄養素や添加物など54のチェック項目をスコア化したもの。

個別成分では、ラズベリーの香り成分であるラズベリーケトンに脂肪分解作用があることが確認されています。

《タフツ大学が発表した「フードコンパスによるフードスコア」の例》

(出典:https://sites.tufts.edu/foodcompass/より)

米国やカナダで、古くから尿路感染症の予防や改善のためにジュースとして利用されてきたのがクランベリー。

日本でもジュースやドライフルーツなどで目にしますが、クランベリーに含まれる有機酸・キナ酸で「トイレが近いと感じている女性の日常生活における排尿に行くわずらわしさをやわらげる機能があると報告されています」という機能性表示が受理されました。

また、キッコーマンが日本人女性で肌状態の改善作用を確認しています。

女性の美容・健康に役立ってくれそうなベリーですね。

このように、それぞれのベリーには“ならでは”の魅力がありますが、種類にかかわらずベリー類を意識して食べるようにするだけでも太りにくくなるという報告も。

それは、2015年に『PLOS MEDICINE』という科学誌に発表された、肥満大国ともいわれる米国人13万人以上の4年間の体重変化と食生活を調べた研究です。どんな野菜・果物をよく食べる人たちで肥満が抑制されているかを分析したところ、ベリー類の摂取量が増えた人たちでは4年間に平均で1.11ポンド(約0.5㎏)減量していました。フルーツ全体の摂取量を増やした場合は0.53ポンド減。ベリーの約半分の体重減少だったので、フルーツの中でもベリーを多くとるのは肥満を防ぐのに効果的と言えます。

「belly」は英語でお腹のこと。「belly fat」というのはお腹についた脂肪を表しますが、「berry(ベリー)」は「very(とても)」、「belly」にいい(;^_^A。

お後がよろしいようで。

どうぞ、毎日のハッピーとヘルシーを支えてくれる、キュートな切れ者、ベリー類とねんごろにお付き合いください。

西沢邦浩

日経BP 総合研究所メディカル・ヘルスラボ客員研究員、サルタ・プレス代表取締役
小学館を経て、91年日経BP社入社。開発部次長として新媒体などの事業開発に携わった後、98年「日経ヘルス」創刊と同時に副編集長に着任。05年1月より同誌編集長。08年3月に「日経ヘルス プルミエ」を創刊し、10年まで同誌編集長を務める。18年3月まで、同社マーケティング戦略研究所主席研究員。同志社大学生命医科学部委嘱講師。