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食で改善、冬の大敵“冷え”と“乾燥”

『日経ヘルス』『日経ヘルスプルミエ』の元編集長で、現在も食品関係を中心に多方面で活躍される、健康医療ジャーナリストの西沢邦浩さんを迎え、「食と健康」についてデータに基づいた情報を発信します。第3回目のテーマは、これからの季節に必読!『食で改善、冬の大敵“冷え”と“乾燥”』です。

2020年12月

健康医療ジャーナリスト 西沢邦浩

漢方でも使われるショウガは優秀な冷え対策食材

 葛根湯という漢方薬のパッケージをじっくり見たことがありますか?

 この薬は「風邪の初期」に使う方が多いのではないかと思いますが、実は「肩こり」に対する効能もあります。要は、体を温めて不調を改善する処方だということです。

 そしてこの処方には、食卓でもおなじみ、血流促進・温め作用を持つ食材・ショウガが入っています。

 薬味などとして活躍してくれるショウガは、冬の冷え対策食品として優れモノです。

 ショウガにはジンゲロールとショウガオールいう辛み成分が含まれ、この2成分にはどちらも熱を生み出す作用がありますが、ショウガオールの方がその力は強いようです。ショウガオールを増やす方法はショウガを加熱すること。ジンゲロールの一部がショウガオールに変わり、ショウガが熱を生む力が強くなるのです。

 以前、編集長をしていた『日経ヘルス』という雑誌で実験もしましたが、煮込んだりしなくても、すり下ろすか千切りにしたショウガを電子レンジで1分ほどチンしただけでショウガオールが増えます。ショウガを薄く切るなどして天日干しておくのもショウガオールを増やす効果的な方法です。

 冷えがつらいのは何といっても冬の朝ではないでしょうか。しかも朝は何かと忙しい。そんなときでも、ショウガをすり下ろして電子レンジでチン、それを味噌汁や紅茶に入れて飲むだけでも体が温まるのはうれしいですね。

 朝ショウガをとると体熱産生が上がり(熱をつくるために体がエネルギーを余分に使うモードになる)、この作用が3時間ほど続くとする研究もあります。つまり、朝ショウガをとることで、冷えが改善するだけでなく、太りにくい状態にもなる、といってもいいかもしれません。

 これまでの研究を見ると、1回に10g(親指の第一関節くらいの大きさ)以上とると効果が実感できる人が多いようです。

 ジンゲロールとショウガオールを機能性成分として「気温や室温が低い際に、末梢部位の体温を維持する」と記している機能性表示食品の甘酒も発売されています。

意外とおいしい⁉ 上半身と下半身を同時に温める「ショウガココア」

 ここまでショウガについて説明してきましたが、実はショウガは上半身を温める作用が強いようです。だから、肩こりにいいんですね。以前、滋賀県立大学で熱産生力があるといわれる食品30種類以上を食べ、その後の体温上昇を調べる研究が行われました。

 上半身を温める作用が一番強かったのはショウガでしたが、下半身を温める作用が一番強かったのはココアだったのです。

 ココアの冷え改善作用に関しては、森永製菓も独自の研究を発表していますが、こちらは手と指先の体温上昇や血流改善を見ています。

 欧州に住む人に尋ねたところ、スイスなどでも冬の時期にジンジャーココアを飲むとのことだったので『日経ヘルス』2005年末発売号に「ショウガココア」を特集し、“冷え対策の新定番”として大きく提案しました。このときは思ったほど反響がなかったもので、あまり喜ばれる組み合わせではなかったかなと、ちょっとがっかり。しかし、今、インターネットで検索すると「ショウガココア」は商品もいろいろ出ているし、いくつもおいしい作り方のレシピまでありました。是非この冬、お試しあれ。

 欧州に住む人に尋ねたところ、スイスなどでも冬の時期にジンジャーココアを飲むとのことだったので『日経ヘルス』2005年末発売号に「ショウガココア」を特集し、“冷え対策の新定番”として大きく提案しました。このときは思ったほど反響がなかったもので、あまり喜ばれる組み合わせではなかったかなと、ちょっとがっかり。しかし、今、インターネットで検索すると「ショウガココア」は商品もいろいろ出ているし、いくつもおいしい作り方のレシピまでありました。是非この冬、お試しあれ。

 ショウガ、ココア以外にも唐辛子やコショウなどのスパイス類、コーヒーや緑茶に多いカフェインも交感神経を刺激して熱産生を促します。3大栄養素の中で食後に熱を作る働きが強いのは肉などのたんぱく質。肉の中でも羊肉や鶏肉は熱産生パワーが強いとする研究もあります。冬はこうした食品も意識してとってはいかがでしょう。

 「冷えにより低下した末梢血流を正常に整える」という機能性表示が行われている成分、温州ミカンやシークワーサーなどの柑橘に多いヘスペリジンも注目されています。食品に含まれるヘスペリジンはあまり吸収がよくないので、機能性食品にはその点を改良した成分が入っていますが、柑橘からとる場合は、小袋、中果皮(実と外皮の間の白い部分)にヘスペリジンが多いので、ここをむいて捨てずに食べましょう。

冷えは多くの不調のもと 放置せずに対策を

 冷えは、西洋人に比べ熱を生み出す筋肉の量が相対的に少ない日本人はじめとする東洋人に多い症状。つらいだけでなく、ほかの不調の原因になる可能性もあるので放置は禁物です。

 体温が低下すると免疫が低下するということもありますが、血のめぐりの悪さは、さまざまな不調とも関係が深いからです。

 下のグラフは、15~69歳の男女約2000人を対象に、冬場の悩みや症状について質問した調査の結果。特に女性で多かったのは「冷え症」を含め、血流の悪さと関係が深い「肩こり・腰痛」「手足や腰の冷え」「乾燥による肌荒れ」でした。

 冷えの解消には、温まる食品をとるだけでなく、運動などでしっかり筋肉を動かすことも忘れずに。

冬場の悩み・症状の多くが冷えと関わる

(ツムラライフサイエンス(当時)による調査、2009年)

肌荒れ・乾燥には、コラーゲン食品や整腸食品をプラス

 もう一つの冬期の悩みといえば肌荒れ・乾燥でしょう。

 前述の調査でもわかるように、血行の悪さは肌を乾燥させる要因のひとつです。そのため、めぐりをよくする食品は肌の保湿力を保つことにも役立ちます。

 しかし、肌の乾燥対策には、さらに、肌のバリア機能の維持や保湿力を保つことに役立つ食品も重要です。

 「肌のうるおいを保つ」という多くの機能性表示食品が出ていますが、血流促進作用によるもの以外を大きく二つに分けると、①肌の表皮や真皮を守り、構成する成分を作り出して保湿機能低下を防ぐ成分=コラーゲンペプチド、セラミド、グルコサミンなどと、②腸から肌の改善を図る成分=乳酸菌、ビフィズス菌などに分かれます。

 ①に関しては、コラーゲンが多い食品を食べることが、現実的な食事による対策といえそうです。私たちは、コラーゲンが多い魚でつみれを作り、それを食べることでコラーゲンが本当に吸収されるか、肌の調子がよくなるかを京都大学と一緒に調べたことがあります。すると、吸収をよくしたコラーゲンペプチドのサプリより少し低めだったものの、十分な量が吸収され、肌の保湿力が上がることが確認できました。 コラーゲンが多い食品には牛すじやうなぎ、鶏のヤゲン(軟骨)などがあります。

 ②の腸から肌の改善を図るには、ヨーグルトなど整腸作用を持つ発酵食品や食物繊維が多い食材をとるのがいいでしょう。ひどい便秘や腸の炎症があると肌の保湿力が低下することはいくつもの研究で明らかにされています。ですので、腸の効用菌(いわゆる善玉菌)が元気を失わないよう、そのエサである水溶性の食物繊維が多い食品を意識してとりましょう。水溶性食物繊維が多い食品には、大麦(押し麦やもち麦)、納豆、ゴボウ、海藻などがあります。

 肌のあれや水分蒸散を防ぐためには、肌の上からの保湿も不可欠。こまめに保湿ローションやクリームを塗り、バリア機能低下を防ぐことは、女性だけでなく男性も心掛けたい冬の習慣です。

西沢邦浩(にしざわ・くにひろ)

日経BP 総合研究所メディカル・ヘルスラボ客員研究員、サルタ・プレス代表取締役
小学館を経て、91年日経BP社入社。開発部次長として新媒体などの事業開発に携わった後、98年「日経ヘルス」創刊と同時に副編集長に着任。05年1月より同誌編集長。08年3月に「日経ヘルス プルミエ」を創刊し、10年まで同誌編集長を務める。18年3月まで、同社マーケティング戦略研究所主席研究員。同志社大学生命医科学部委嘱講師。